
本文
NHKゴガク「まいにちハングル講座」で、思いがけず韓国SF文学の作品に出会いました。紹介されていたのは、作家ペ・ミョンフンによる短編小説『チャカタパの熱望で』という作品。独特なタイトルと番組内で語られたテーマの一端を耳にして、強く興味を持ちました。
残念ながらこの作品は現時点ではKindleでは読めないようで、まだ手に取ることはできていませんが、言語と社会の関係をSF的に描いているという点に、非常に刺激を受けました。
「チャカタパの熱望で」に見える韓国SFの切り口
この作品は、人工言語「チャカタパ」をめぐる物語。言語が人間の思考にどのように影響を与えるのか、また、国家が言語をどう利用しようとするのか──そんな問題意識がユーモラスかつ鋭く描かれているとのことです。
このような社会性の強いテーマ設定は、韓国SF文学のひとつの大きな特徴であり、そこに惹かれる読者も多いようです。
韓国SF文学の現在:テーマと作家たち
韓国SFは、近年ますます勢いを増しているジャンルで、社会批評や人間の内面に深く迫るテーマが豊富です。代表的な作家たちとその特徴的な作品をいくつか紹介します。
🏙 ペ・ミョンフン(裵明勲)
- 代表作:『タワー』『チャカタパの熱望で』など
- 政治、国家、都市空間といったテーマをユーモラスに、かつ鋭く描く社会派作家。
🧬 チョン・ソヨン(鄭昭延)
- 代表作:『となりのヨンヒさん』
- フェミニズム、家族、ジェンダー、マイノリティをテーマにした作品が多く、弁護士としての視点が作品にも活かされている。
🌌 キム・チョヨプ(金草葉)
- 代表作:『わたしたちが光の速さで進めないなら』
- 繊細な感情表現と人間の倫理的な問いを扱う理系出身の作家。科学と人間の心が交差する、美しいSF短編が魅力。
🔬 ハ・ジンウォン
- AI、バイオテクノロジー、情報社会をテーマに、ややハードなSFやサイバーパンク寄りの作品を執筆。
これから読む一冊:『わたしたちが光の速さで進めないなら』
『チャカタパの熱望で』がKindleで読めないのは少し残念ですが、代わりに私はキム・チョヨプの短編集『わたしたちが光の速さで進めないなら』を読むことにしました。幸いにも本作はKindleで配信されており、すぐに読み始めることができます。
この作品は、未来のテクノロジーや宇宙を舞台にしながらも、人の思いや絆を大切に描いているとのことで、技術よりも「人間そのもの」を中心に据えたSFとして高い評価を得ています。SFにあまり馴染みのない方にも入りやすいとされているので、私自身とても楽しみにしています。
おわりに
NHKの語学番組をきっかけに、韓国SF文学というジャンルが目の前に現れました。
韓国SFはまだまだ日本では広く知られていない分野のようですが、その中にはきっと、自分の視野を広げてくれるような物語がたくさん詰まっていると思います。これから少しずつ、作品を通じて韓国SFの世界を旅していこうと思います。

コメント